今年初め、テンセントが公開した新作『奥星熱浪』のテスト募集PVは、瞬く間にネット上を席巻し、累計再生数は1000万回を突破した。TapTapで9.7点、好游快爆で8.6点という驚異的な期待値を叩き出している本作。6月12日に行われた最新のプレイアベール(先行公開)を通じ、ついにそのベールに包まれた遊び心地の全貌が明らかになった。










カオスなミームが渦巻く、若者のための「ネタ」の聖地
本作のゲームサイクルは大きく3つに集約される。「索敵・戦闘・脱出」を軸としたPvPvEスタイルの略奪活動、広大なオープンワールドでのソーシャル要素、そしてスローライフを満喫できるシミュレーション経営だ。
各パートの完成度は、単なるネタゲーの域を遥かに超えている。プレイヤーは三人称視点でフィールドを駆け巡り、モンスターやライバルと対峙する一方で、自宅での農作業や、不思議なNPC「光仔(コウシ)」の収集に没頭できる。広場で他愛もないチャットに興じ、気の合う仲間と即席のパーティーを組むといった、MMO的な交流も醍醐味の一つだ。
一見するとカオスでシュールな印象が先行するが、中身は驚くほど作り込まれている。略奪パートには鍵のかかった隠し部屋や、強力なギミックを持つ中立ボスが配置され、ハクスラ的な緊張感も健在だ。
特にモンスターの設計は秀逸だ。例えば、足音やマイクの音に反応する「順風耳」、あるいはボイスチャットの怒鳴り声で威嚇して追い払う「小さな仲間」など、プレイヤーの五感をハックするようなユニークなギミックが満載されている。
しかし、本作の本質はどこまでも「カジュアル」だ。略奪ゲーム特有のストレスを緩和するため、全編にわたって大量のネットミームが仕込まれている。あるプレイヤーが「濃密なネタの中に、申し訳程度のゲーム要素がある」と評した通り、このネタ文化の密度こそが本作のコアである。
プレイヤーが操作する「光仔」のビジュアルからして、バナナ猫やエイリアン猫といった有名ミームをサンプリングしたもの。敵キャラも同様で、特定のアバターをモチーフにした兵士が立ちはだかる。戦利品に至っては「坤坤の髪」や「九転大腸」といった、思わず吹き出すようなアイテムばかりだ。さらに、大剣を振るえば「八十八十(パーシー!)」というSEが鳴り響く。これほどまでの悪ふざけを見せつけられては、殺伐とした略奪戦でも緊張し続ける方が難しいだろう。
このノリは拠点の経営要素でも一貫している。自宅システムは、略奪で手に入れたシュールなコレクションを並べる展示場であり、自分だけのアジトだ。重厚な世界観を売りにするタイトルとは対照的に、本作は「ネタ」という共通言語を最大のフックにしているのだ。
開発チームとプレイヤーは「共同経営者」?前代未聞の透明性
本作のもう一つの特異点は、その開発スタイルにある。一般的にゲーム開発は密室で行われるものだが、『奥星熱浪』は「全透明」と言えるほどオープンな姿勢を貫いている。
プロジェクトチームは、プレイヤーを単なるユーザーではなく「株主」と呼ぶ。Bilibili(ビリビリ)の公式アカウントでは、定期的な進捗報告はもちろん、新要素の導入可否を「株主総会」のようなビデオ形式で問いかける。コメント欄のフィードバックが即座に開発に反映され、数々の小型テストを経てブラッシュアップされるプロセスは、まさにコミュニティとの共同制作だ。
これは中国のインターネット文化をエンジンとする本作にとって、極めて合理的な戦略と言える。プレイヤーが日常的に使うスラングやミームをゲーム内に「内面化」することで、ユーザーは自分の文化が認められたという強い帰属意識と、「株主」としての当事者意識を持つようになる。これは運営型タイトルの理想的な進化系かもしれない。
「楽しさ」をハックする、Z世代の新たな居場所
メカニクス以上に特筆すべきは、本作が提供する「感情的価値」だ。
今回のテストでは、広場に集まったプレイヤーたちが最新のビジネス用語やネットスラングで交流し、記念撮影を楽しむ姿が頻繁に見られた。NPCのシュールな台詞にツボるのも、一つの体験だ。本作はいわば「遊べるネタ百科事典」であり、伝統的な「挑戦と報酬」のループとは異なる次元でプレイヤーを動機づけている。
ここには、Z世代のゲーム動機の変化が顕著に現れている。例えば、往年の名作『洛克王国』でも、現在はモンスター育成や段位上げといったメインコンテンツ以上に、広場で椅子を並べて見知らぬ誰かと雑談することに価値を見出す層が増えている。
今の若いプレイヤーにとって、ゲームが「自分にとって心地よい居場所かどうか」の比重はかつてないほど高い。『奥星熱浪』はそこを突いている。キャッチコピーの「楽しさを求める人の略奪サバイバル」にある通り、このゲームに入った瞬間に「ここは自分たちの領域だ」と感じさせるシンボルを至る所に散りばめているのだ。
総評
第一印象は「バカゲー」かもしれないが、その実態は、ネタ文化をソーシャル言語に昇華させた極めてスマートな設計のタイトルだ。殺伐としたPvPvEやパーティーゲームが溢れる市場において、ミームを潤滑油に「居心地の良さ」を創出した『奥星熱浪』は、間違いなく唯一無二のポジションを確立するだろう。
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