Ubisoft(ユービーアイソフト)が、世界規模での組織再編に向けた舵を大きく切った。今回の調整では最大で約380名のポストが対象となり、カナダの Ubisoft Winnipeg とセルビアの Ubisoft Belgrade という2つの技術拠点が閉鎖される。あわせて、バルセロナ拠点やグローバルパブリッシング部門でも人員の適正化が進められる見通しだ。


報道によれば、閉鎖対象となる Winnipeg では約65名、Belgrade では約100名の雇用に影響が及ぶ。一方で Ubisoft Barcelona は51名の削減を行いつつもスタジオを存続させ、今後はリソースを『Rainbow Six』シリーズなどの主力プロジェクトへ全投入する構えだという。
岐路に立つ「共同開発」の屋台骨
閉鎖が決定した Ubisoft Winnipeg は、2018年の設立以来、自社エンジンである「Anvil」や「Snowdrop」のツール開発、システム面のテックサポートを一手に引き受けてきた拠点だ。『Assassin’s Creed』や『Far Cry』、『Watch Dogs』といった同社を代表する AAA タイトルを裏から支えてきた実績は大きい。
また、2016年設立の Ubisoft Belgrade も、欧州における重要な共同開発拠点(共研)の一つだった。『Ghost Recon: Wildlands』や『Breakpoint』、さらには『Skull and Bones』など、PC・コンソール両面で開発の足腰を支えるサポートを担ってきただけに、今回の閉鎖は同社の開発体制に大きな変化をもたらすだろう。
「AAA多ライン開発」からの脱却と再編の行方
Ubisoft Barcelona の方針転換は、同社がリソースを少数の成熟した IP や長期運営タイトルに全振りしようとする「選択と集中」の姿勢を象徴している。モントリオール拠点でも『Rainbow Six: Siege』やモバイル版、未発表プロジェクトの間で約120名規模の配置転換が行われたと報じられており、社内ではかつてない規模の組織改編が進行中だ。
財務面を見れば、この動きは必然ともいえる。同社は現在、2026年3月末までに固定費を約1.18億ユーロ削減する計画を推進しており、2028年3月までにはさらに厳しいコストカットを目指している。かつて Ubisoft は、世界中のスタジオが網の目のように連携する「グローバル共研ネットワーク」を武器に、膨大な AAA タイトルを同時に走らせてきた。しかし、今回の拠点閉鎖はその生産モデルそのものの圧縮を意味している。
コスト削減の荒波の中で、同社がいかに開発能力を維持し、どの IP に未来を託すのか。巨大パブリッシャー Ubisoft は今、まさに重大な転換期を戦っている。
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