SupercellのCEO、Ilkka Paananen氏は、欧州連合(EU)で議論が進む「デジタル・フェアネス法案(Digital Fairness Act、以下DFA)」が、現在の基本プレイ無料(F2P)モデルにとって致命的な障壁になるとの声明を発表した。この法案が施行されれば、欧州におけるゲーム運営の持続可能性が損なわれると危惧。KingのTodd Green総裁やSyboのMathias Gredal Nørvig CEOもこの動きに加わり、業界のビジネスモデルそのものが揺らぎかねない事態に警鐘を鳴らしている。


「仮想通貨の廃止」と「決済プロセスの崩壊」
DFAの核心的な懸念点は、ゲーム内仮想通貨を「金融属性を持つ資産」と定義し、ユーロ等の法定通貨による直接価格表示を義務付ける点にある。これが実現すれば、長年モバイルゲームの主流だったゲーム内エコシステムは根本から覆される。さらにPaananen氏は、プレイヤーへの過度な保護を目的とした規制により、1回の決済プロセスにつき最大40回もの警告ポップアップが表示される可能性を指摘。こうしたUX(ユーザー体験)を著しく阻害する設計は、プレイヤーのエンゲージメントを削ぎ、適正な収益化を困難にすると批判した。
失われるグローバル競争力、当局との深い溝
KingのGreen総裁は、報告書を通じて「Candy Crush Saga」などのメガヒットタイトルにおいても、仮想通貨の廃止がユーザーの混乱を招き、タイトルの魅力を削ぐ結果になると強調。また、SyboのNørvig CEOは、EUの規制当局がゲーム産業特有のダイナミズムや実態を把握しないまま、一方的な立法を進めている現状を非難した。DFAが現状のまま強行されれば、北米やアジア市場に対して欧州のゲーム企業は著しく不利な立場に置かれ、開発者とプレイヤーの双方に不利益をもたらす「負のスパイラル」に陥ると訴えている。
2027年の施行を見据えた業界の岐路
DFAは現在、欧州議会での審議プロセスにあり、最短で2027年にも施行される見通しだ。欧州のモバイルゲーム市場は年間約250億ドル(約3兆8,750億円)という巨大な規模を誇るため、グローバル展開を行うメーカーにとっても死活問題となる。また、過去にPEGI(欧州のレーティング機関)がガチャ要素を含むゲームの対象年齢引き上げを示唆した際、米国のESRBが同調を拒むなど、規制を巡る国際的な足並みの乱れも顕在化している。DFAが施行された場合、世界のゲーム運営のスタンダードが強制的に塗り替えられる可能性があり、今後の動向から目が離せない。
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