PlayStationを牽引してきたファーストパーティータイトルの販売本数が、2020年度をピークに劇的な減少に転じている。アナリストのStephen Totilo氏が公開したデータによれば、2020年度の5,840万本に対し、2024年度の予測値は2,890万本。わずか5年間で市場ボリュームがほぼ半減するという、かつてない局面を迎えている。




ライブサービスシフトの誤算と巨額の減損損失
この急激な落ち込みの背景にあるのは、ソニーがここ数年、経営の柱に据えてきた「ライブサービスゲーム(GaaS)」への極端なシフトだ。2022年には『Destiny』シリーズを擁するBungieを約37億ドル(約5,735億円)という巨額で買収したものの、今年5月の決算では約7億6,500万ドルの減損損失を計上。さらに、主力IPである『Destiny 2』のコンテンツ展開も収束へ向かうなど、買収時の期待を大きく下回る結果となっている。
当初、2025年までに12タイトルのライブサービス作品を市場投入するとしていた野心的な計画は、現在6タイトルへと事実上の縮小を余儀なくされた。この過程で、Naughty DogやBend Studioといった名門スタジオが手掛けていたプロジェクトを含む計10本が開発中止。特に、多額の開発費を投じたとされる『Concord』がサービス開始からわずか2週間で終了し、スタジオ解散に至った異例の事態は、現在の戦略的混迷を象徴している。ソニーの十時裕樹CFOも投資家に対し、ライブサービス分野への移行が決して順風満帆ではないことを認める発言を残した。
期待作『Marathon』の現状とハードウェアを支えるサードパーティの台頭
こうした逆風の中、Bungieの新作『Marathon』が現状を打破する一手として期待を集めている。6月2日から実施された期間限定のプレイテストでは、Steamでの同時接続者数がそれまでの約1万人から4万人超へと急増したものの、Bungieの過去の実績を鑑みると、爆発的な勢いに欠けるとの厳しい分析も根強い。テスト終了後、40ドル(約6,200円)という価格設定でどれだけのコアユーザーを定着させられるかが、今後のGaaS戦略を占う試金石となるだろう。
問われるファーストパーティーの競争力
自社タイトルの供給不足が続く一方で、PlayStation 5のハードウェア販売が堅調さを保っているのは、中韓メーカーによる強力なサードパーティタイトルの存在が大きい。中国の『原神』や『鳴潮』、そして韓国発の『Stellar Blade(ステラーブレイド)』といった作品がプラットフォームの活力を補完しており、ソニー自身の供給力を外部が支えるという皮肉な構造が定着しつつある。
ライブサービス戦略の躓きが招いた人員削減や巨額損失という「後遺症」は、短期間で解消できるものではない。ブランドの核心であるファーストパーティータイトルの独占力と開発力をいかに再建するのか、ソニーは今、抜本的な戦略の立て直しを迫られている。
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