中国の二次元ゲーム大手が射撃ジャンルへ一斉進出、その背景と課題

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Written by 朝日堂

2026-06-08

『鳴潮(Wuthering Waves)』の開発元として知られるKuro Games(広州庫洛科技有限公司)が、設立からわずか2ヶ月の新鋭デベロッパー、上海拾光背包(拾光背包)への出資に踏み切りました。この拾光背包を率いるのは、『崩壊:スターレイル』の技術責任者を務めた余洋氏。現在同社では、Unreal Engineを採用したマルチプレイ協力型PvE三人称視点(TPS)ヒーローシューターという、野心的なプロジェクトの開発が進行しています。

「キャラ愛」から「システム構築」へ。二次元ゲーム界に押し寄せる転換期

今回の投資劇は、近年の中国ゲーム業界における劇的なパラダイムシフトを象徴するものです。これまでアニメ調の美少女・美少年キャラクターを強みとしてきた「二次元ゲーム」のトップランナーたちが、今、こぞってシューティング(射撃)ジャンルへと主戦場を移し始めています。

業界の盟主であるmiHoYoも例外ではありません。同社は現在、Unreal Engine 5を用いたリアル志向のFPS(AIチームメイト実装)や、『オーバーウォッチ』や『VALORANT』の流れを汲むグローバル向けのカートゥーン調ヒーローシューターなど、少なくとも2つの射撃プロジェクトを走らせています。また、『少女前線(ドールズフロントライン)』で知られる散爆ネットワーク(Sunborn)も、ファン作品をルーツとする『少女前線:火力控制』のテストを2025年10月にタイで開始。後続の新作でもマルチプレイ射撃体験をコアに据えるなど、ジャンルの垣根は急速に消失しています。

なぜ今、デベロッパーは「射撃」に活路を見出すのか

コンテンツ特化型の企業がシューター開発に傾倒する背景には、現在の運営型ゲームが抱える構造的な課題があります。オープンワールドに代表される重厚な二次元ゲームは、膨大な開発コストをかけて生成したコンテンツが、プレイヤーによって瞬く間に消費されてしまうという「物量戦」のジレンマを抱えています。対して射撃ゲームは、洗練された基本メカニクスさえ確立できれば、コンテンツの追加に過度に依存せずとも、プレイヤーのスキルアップや競技性によって長期的なライフサイクルを維持しやすいという強みがあります。

さらに、グローバル市場を見据えた際の「門戸の広さ」も無視できません。コアなファン層だけでなく、世界中で最も分厚いユーザー層を持つシュータージャンルは、真の意味での世界進出に向けた最短距離と言えます。『スノウブレイク』や『カピラチ(Strinova)』の成功は、二次元的な美学と射撃メカニクスの融合が、ニッチな試みではなく確かな市場性を有していることを証明しました。

「システム能力」という高く厚い壁

しかし、キャラクタービジネスからハードコアな射撃ゲームへの転向は、一筋縄ではいきません。これまでの勝負所がIPの魅力やシナリオといった「コンテンツの質」であったのに対し、シューターで問われるのは弾道のフィーリング、キャラコンの快適さ、マッチング精度、そして緻密な対戦バランスといった「システム根幹の完成度」だからです。この領域では、20年以上のノウハウを蓄積したTencentやNetEaseといった巨大資本が絶対的な防衛線を築いています。

例えば、Tencentの『デルタフォース(三角洲行動)』は、リリースから1年でDAU 3000万人を突破。その背景には、盤石な運営体制と強力なアンチチート能力が存在します。どれほどキャラクターが魅力的であっても、操作性や公平性が損なわれていれば、肥えた目を持つシューター愛好家たちは即座に去っていくでしょう。二次元ゲーム会社にとっての射撃ジャンル参入は、単なる新機軸の模索ではなく、自社の開発DNAを根底から作り替える、極めて難易度の高い挑戦となるはずです。

Sources:

文字よりも、ガチャガチャを回すあの軽やかな音を聴くのが好き。ランダムに転がり落ちてくるサプライズは、原稿を直したあとに訪れる予期せぬ驚きにとてもよく似ている。デスクの上には癒し系フィギュアがずらりと並んでいて、それらは締め切りのプレッシャーの中で、いちばん小さくて、いちばん確かな幸せの火花なんだ。

朝日堂

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