『PUBG(PlayerUnknown’s Battlegrounds)』という世界的社会現象を巻き起こしたブレンダン・グリーン(Brendan Greene)氏が、大きな岐路に立たされている。6月4日、氏が率いる独立スタジオ「PlayerUnknown Productions」の組織再編が発表された。資金繰りの行き詰まりから、かつて掲げた「地球規模のオープンワールド」という壮大なビジョンは事実上の断念を余儀なくされ、その第一歩となるはずだった処女作『Go Wayback』の開発も中止されることとなった。


限界に達した資金調達、プロジェクトは技術研究へ縮小
グリーン氏はSNSを通じ、「現在の体制でプロジェクトを継続するための資金確保が限界に達した」と苦渋の決断を明かした。これに伴い、これまで進められていた新作『Go Wayback』の制作を正式に終了する。今後はチーム規模を大幅に縮小し、同作の核となっていた地形生成エンジン「Melba」の研究開発に特化する「技術研究型」の体制へ移行するという。
既に『Go Wayback』を購入したプレイヤーに対しては、今後の最終アップデートをもって同作を無料開放する予定だ。また、SteamおよびEpic Games Storeでの購入者への返金対応についても、近日中に詳細をアナウンスするとしている。
「10年計画」の野望と、厳しすぎる商業的現実
2021年、グリーン氏はKraftonから独立し、オランダにPlayerUnknown Productionsを設立した。当時、彼が描いていたのは「10年かけて地球サイズの仮想空間を創り上げる」という、既存のゲーム開発の常識を覆す三部構成の極めて野心的なロードマップだった。
しかし、2025年末にリリースされた『Go Wayback』は、技術検証としての側面が強く、純粋なエンターテインメントとしての商業的成功を掴むには至らなかった。20ドル(約3,100円)という価格設定に対し、コミュニティからは「内容がゲームではなく技術デモのようだ」という厳しいフィードバックも相次いでいた。結果として、プロジェクトを自走させるだけの収益を確保できず、AAA級の野望が生んだ膨大な開発コストがスタジオの体力を奪い去った形だ。
名声だけでは戦えない、独立スタジオの生存戦略
かつて『PUBG』は買い切り版だけで9,000万本以上を売り上げ、Kraftonを時価総額220億ドル(約3兆4,100億円)規模の巨大企業へと押し上げた。その立役者であっても、独立後の道は険しさに満ちていた。今回の事態は、いかに輝かしい実績を持つクリエイターであっても、ビジネスとしての継続性を欠いたまま大規模開発を強行することの危うさを、業界に改めて突きつけている。
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